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獣医師が教える
犬・猫の不調に気づく6つの「Help!サイン」

Special / 2019.04.15

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illustration : Kaori Fukino / text : Yuko Tanaka

言葉で訴えることができない犬や猫は、いつもと違う小さな体の変化で、体の不調を知らせようとしています。そこで、健康に長生きしてもらうために知っておきたい6つのサインを、塩田動物病院のポッポ先生こと塩田眞院長に教えてもらいました。

教えてくれたのは
Dr.ポッポと呼ばれています!
塩田眞(しおた・まこと)先生

塩田動物病院院長。動物臨床医学会評議員、小動物臨床外科医会代表、獣医麻酔外科学会評議員。日本で初めて動物のための救急車を作った救命獣医師としても知られ、日本中から患者が訪れる、“ペットファースト”診療のパイオニア。毎日新聞コラム「動物病院笑い話555」、テレビ番組「志村動物園」出演などでも活躍。折り紙でハトを折っていたことから「Dr.ポッポ」の愛称に。

弱っているところを見せたがらないからこそ
気づいてあげて

「もともと野生だった犬や猫は、弱った姿を見せると攻撃されるという危険にさらされていました。その危険から自分を守るため、犬や猫は弱っていることを悟らせまいとする習性が身についています。これは本能的なものなので、飼い犬や飼い猫であっても、信頼する飼い主さんにすら弱った姿を見せようとしません。だからこそ、いつもとの違う様子から不調のサインを見分け、健康を管理するのが飼い主さんの責務。“いつもと違う”に気づくために、犬や猫の普段の様子をよく見ておくことが大切です」(塩田先生)

Dr.ポッポが教える
犬・猫共通の「Help!サイン」

1 ご飯をいつも通りに食べない

気持ち悪くてお腹が空かないの

「食欲がない原因のひとつとして、発熱が考えられます。犬や猫は、体中の細胞にあるミネラルを使って体温を維持しています。このミネラルが不足すると代わりに胃酸を使って熱を上げるため、胃酸が不足して食欲が低下してしまうのです。また、食欲低下の原因は、発熱のほかに胃腸の不調も考えられるので、いつもの食事量を摂れていない日が続くようであれば、平熱でも病院に連れて行くのをおすすめします」(塩田先生)

こんな可能性が!

発熱、胃腸の調子が悪い
など

2 オシッコをちゃんと出せていない

トイレに行きっぱなしだったり…
トイレに頻繁に行ったり…

「1回のオシッコの量の多い、少ないだけで体の不調とは言いきれませんが、明らかに1日の合計の排泄量が少なくなっている場合は、体の不調が疑われます。とくに、トイレに座りっぱなしだったり、出たり入ったりしている場合は注意深く観察して。オシッコが全く出ていないか、オシッコが出ていても残尿感が残っているのでしょう。オシッコが24時間出ないと命に関わることもあるので、病院に連れて行ってください。また、膜が張っているようなうんちも不調のサイン。この膜は、毛細血管が壊れ、腸の粘膜が剥がれたもの。血便の一歩手前なので、見逃さないように!」(塩田先生)

こんな可能性が!

膀胱炎、尿道炎
など

Dr.ポッポ’s check
トイレも観察してみましょう

砂やシートを交換する時の重さは排泄量の目安になります。1回1回だけでなく、交換回数や重みの合計が1日どれくらいかを把握しておくと、健康管理の参考に。

   

固まりやすく飛び散りにくいから、オシッコの跡がわかりやすい
「セブンプレミアム ライフスタイル ねこ砂 5L」。

しっかり吸収するので、重さで排泄量を確認しやすい
「シーズイシハラ パワフルペットシート レギュラー 108枚」は、
犬のオシッコ3回分(1回約30cc目安)を吸収。

大きめサイズなので、犬のオシッコ3~5回分(1回約30cc目安)を吸収できる
「シーズイシハラ パワフルペットシート ワイド 54枚」。

3 毛並みがいつものようすと違う

ベタベタしたり…
赤茶色に染まっていたり…

「犬や猫は舌で毛を舐めてグルーミング(毛づくろい)するので、舐めた後の毛の状態で口の中の不調を見分けることができます。毛がいつもよりベタつくようなら、脱水気味で唾液が濃くなっている証拠。毛が赤茶色に汚れている場合は、歯茎から出た血がついた可能性も。とくに猫の場合、健康なときは口の病気になりません。体の不調を知らせる重要なサインなので、見逃さないで」(塩田先生)

こんな可能性が!

脱水症状、口内炎
など

4 目や口が赤く腫れている

弱い粘膜に異変が!

「アレルギーが起きると、敏感な目や口などの粘膜系が赤く腫れやすくなります。花粉やハウスダスト、芳香剤などアレルギーの原因は様々。何にアレルギー反応を起こすかは個体差があるので、検査をしてみると明確になるでしょう。なお、体全体に腫れが見られる場合は、食べものによるアレルギーが考えられます」(塩田先生)

こんな可能性が!

アレルギー症状
など

5 目ヤニがベタベタになっている

粘度が強い場合はとくに注意

「目ヤニはそもそも、老廃物と目を保護している粘液が混ざってできるもので、涙で流れるのが通常。少量であれば気にすることはありませんが、たくさん出ていたり、ベタついている場合は要注意。とくに脱水しやすい夏場は体全体の水分が不足し、ベタベタした目ヤニが多くなる傾向に。こまめに目をふいて取ってあげ、ひどい場合は点眼薬で解消します。たくさん出ている場合は、目の炎症を起こしている疑いも」(塩田先生)

こんな可能性が!

脱水症状、結膜炎
など

Dr.ポッポ’s check
ふき取るときはエタノール不使用の
ウェットティッシュがよし

目元のほか、耳や口などのデリケートな部分に刺激を与えることになるので、低刺激なウェットティッシュを利用するのがおすすめです。

   

エタノール不使用で、無香料。
おしりや手足まで全身に手軽に使えて便利。

6 抜け毛や切れ毛が多い

根元から抜けてる?or 切れてる?

「犬や猫の毛が抜けるのは自然なことですが、あまりに多く抜ける場合は皮膚の不調かもしれません。また、皮膚からの抜け毛ではなく、切れ毛が多いようなら、歯槽膿漏や歯周病など、口の中の病気が考えられます。これは、毛を舐めたときに、口の中の細菌によって毛が切れてしまっている可能性が高いため。毛の生え変わりの時期は見過ごしやすいので、気をつけましょう」(塩田先生)

こんな可能性が!

皮膚病、歯周病
など

Dog

犬はこの「Help!サイン」にも要注意
テンションの急激な変化

騒いでいるなと思ったら…
急にぐったり

「騒いでいる時に急にパタンと倒れるのは、原因として、過剰な負荷がかかったことによる体の酸素不足が考えられます。1日の温度差が大きい時や、2~3歳の幼少期、12~13歳以降の老齢期の犬が起こしやすいとされていますが、週に何度も起こすようなら、心臓の不調が考えられます。逆に、静かにしている時の急な発作はてんかんの疑いが。症状が激しいので驚くかもしれませんが、てんかんの発作は、ほとんどの場合1時間程度で治ります」(塩田先生)

こんな可能性が!

心臓疾患、てんかん
など

Cat

猫はこの「Help!サイン」にも要注意
真夜中の鳴き叫び

痛みで思わず声が出てるのかも

「深夜22時から1時頃、じっとしている猫が『ギャー』という叫ぶような鳴き声をあげるのは、激痛のサイン。血栓の可能生があるので、すぐに病院へ! 大動脈に血栓が詰まってしまった場合、2時間以内に取り除けば助かる可能性が高いのですが、時間が経つと助けることができません。急な時に慌てないよう、深夜でも診てくれる夜間病院や救急病院を調べておきましょう」(塩田先生)

こんな可能性が!

大動脈血栓症
など

おわりに

ペットの不調を感じると、病院へ連れて行くべきか迷うことも。「いつもと違う?」と思ったら、まずは様子を観察。よほど急激な変化がある場合は別として、病院へ連れて行くべきなのは、いつもと違う状態が1週間続くのが目安だそう。小さなサインを見分けて、慌てず落ち着いた対応を!